発掘調査(令和5年度)一覧

令和5年7月11日 徳定A・B遺跡の発掘調査を実施しました

今月の前半、徳定A・B遺跡(田村町徳定)の第7次発掘調査を実施しました。
これまでの調査では、古墳時代~平安時代の集落跡や、中世の遺構などが見つかっています。

今回の調査では、竪穴建物跡が2棟確認されました。
出土した土器の特徴などから、それぞれ古墳時代中期と奈良時代のものと考えられます。

上の写真は、調査区の北側で見つかった竪穴建物跡で、出土した土器の特徴から古墳時代中期のものと考えられます。
当時使われていた食器類が所々に残されていました。

調査区南側で見つかった竪穴建物跡は、奈良時代のものと考えられます。
カマドからは石製の支脚が出土しました。
この上に土器の甕を置いて、煮炊きをしていました。

周りの土は火に熱せられて赤く変色していました。
ここではどんな料理を作っていたのでしょうか。
今から1000年以上前の暮らしのようすがリアルに伝わってくるようです。

2023年07月11日

令和5年8月3日 上之内遺跡の発掘調査を実施しています

徳定A・B遺跡の第7次調査が終わり、7月21日から上之内遺跡(富久山町福原)での発掘調査を実施しています。
限られた範囲での調査となっています。

写真のように、南北方向へまっすぐに延びる2本の溝が見つかりました。
農道の側溝かもしれません。

別の溝跡からは、少量ですが土師器片も出土しています。

これまでの調査から、上之内遺跡では古墳時代前期から後期にかけて断続的に集落が営まれていたと考えられています。
周辺にはかつて多くの古墳が存在しており、それらと関連する集落であると想定できます。

上の写真は、上之内遺跡の付近に残る古墳のひとつ、小十郎壇(こじゅうろうだん)古墳です。

手前のブルーシートの部分が調査区の一部で、その奥には森が顔を覗かせています。
ここは現在神社が鎮座している台地なのですが、450年ほど前の郡山合戦に際して、伊達政宗が本陣を置いた場所とされています。
もしかするとこの場所も古墳なのかもしれません…

2023年08月03日

令和5年8月9日 上之内遺跡の発掘調査を実施しています(その2)

前回の記事で紹介した、上之内遺跡での発掘調査が大詰めを迎えています。
今回の発掘調査では、調査場所が数か所に分かれています。
この記事では前回取り上げた部分とは別区域の様子を紹介します。


人の身長ほどの深さがある大溝を検出しました。
何らかの施設を区画する溝の可能性があります。
南から東に向かってカーブしていることから、北西コーナー部分であると考えられます。
溝の上部は人為的に埋められているようです。
遺物が見つかっていないので時期は不明ですが、中世まで遡るかもしれません。

土坑からは、郡山市内ではめずらしい古墳時代前期の土器が出土しました。
ここが当時の集落の一画にあたることが、改めて確認されました。

今週は天気が不安定で、スコールのような雨に降られることもしばしばです。
安全第一で残りの作業を進めていきます。

2023年08月09日

令和5年9月11日 正直古墳群第6次発掘調査がスタートしました

郡山市田村町に所在する正直古墳群の発掘調査が、先週から本格的に始まっています。
6次調査となる今年度は、正直26・27号墳を対象に、その規模や形態、築造時期などを明らかにするための調査を実施します。

重機で表土を取りのぞいた後、人力でトレンチを掘り下げています。

写真に写る黒い帯状の部分は、溝の跡かもしれません。
ここからは土師器のかけらなども見つかっています。

2023年09月11日

令和5年10月4日 正直古墳群第6次発掘調査(その2)

夏の暑さから一転、あっという間に秋の気候が訪れ、季節の移り変わりを肌で感じる今日この頃です。
正直古墳群の第6次発掘調査も日々進められています。

26号墳の周溝です。
墳丘規模15m前後の円墳と考えられています。
斜め方向に筋のように掘られているものは、後世の畝の跡です。

こちらは、今回の調査で見つかった新発見の古墳で、44号墳と名付けました。
44号墳は26号墳よりも一回り小さいようです。
周溝が円形を描いている様子が見えるでしょうか?

なお、調査の目的のひとつに、かつて発掘調査が行われた27号墳の位置の再確認があります。
27号墳は約26mの円墳で、過去の発掘調査では被葬者の人骨の他、鉄製の剣や刀、石製模造品など豊富な副葬品が見つかっています。
粘り強い調査が続きます…

2023年10月04日

令和5年10月13日 正直古墳群第6次発掘調査(その3)

今回は27号墳の調査の様子を紹介します。
各トレンチで周溝が確認され、27号墳の位置と大きさが明らかとなってきました。

 

墳丘規模が25m前後で、前回紹介した26・44号墳よりも、規模の大きいことが分かります。
(向こう側にも2人の作業員が立っているのが分かるでしょうか…?)

27号墳の周溝の真横には、大きな土師器の甕が埋められていました。
この土器は棺として使われたと思われます。
もしかすると、27号墳の被葬者に関係する人物のお墓かもしれません。

2023年10月13日

令和5年11月20日 正直古墳群第6次発掘調査の現地説明会を開催しました

11月18日(土)の午後、正直古墳群第6次発掘調査の現地説明会を開催しました。

参加者は定員いっぱいの40人が集まり、たいへん盛況となりました。

上の図は、今回の調査のトレンチ配置図です。
26・27号墳の正確な位置が特定された他、2基の古墳を新たに発見しました。
また、27号墳の中央部分では、かつて主体部に埋設されていた箱式石棺の残欠も見つかっています。
27号墳周溝の西端で出土した壺棺も、郡山市内では貴重な発見となりました。
その他、土坑墓や縄文時代の落し穴などの見つかっています。

以下のリンクから、当日の解説資料をご覧いただくことができます。
参加された皆様、本当にありがとうございました。

正直古墳群現地説明会資料

2023年11月20日

令和6年2月28日 郡山市喜久田町で発掘調査を実施中!

今月の初旬から、郡山市喜久田町で発掘調査を実施しています。

昨年に行われた試掘調査で新たに発見された遺跡のため、名前はまだありません。
今回は、この新発見の遺跡の範囲や性格などを探るための確認調査となります。

すぐそばには喜久田小学校があり、晴れていれば安達太良山を望むことができます。

遺構は、ピット(小穴)群、土坑、溝跡などを検出しています。
いくつかのピットは、写真のような掘立柱建物を構成する柱の跡かもしれません。

遺物はあまり多くありませんが、特徴的なものとして、青磁の蓮弁文椀があります。

今のところ、中世の屋敷跡があったのではないか、と考えています。

2024年02月28日