豆知識

安積開拓と安積疏水に関するアレコレ~その8~記念日6月28日

安積開拓と安積疏水に関連する物事や人物などについて、豆知識としてギュッとまとめてお届けします。
〔記念日アレコレ〕では、安積開拓や安積疏水を語る上で重要な出来事が起こった日をピックアップします。

〔記念日アレコレ:6月28日〕開成館の上棟式

 明治初期に建築され、現在に至るまで同じ場所に建ち続ける開成館は、令和5年(2023)現在から149年前の明治7年(1874)4月に着工され、6月28日に上棟式が行われたとの記録が残っています。

 六月廿(二十)八日 (前略)是日新築高楼ノ上梁式アリ、宴ヲ開キ之ヲ祝ス、社員モ亦皆之レニ与カル、
(『開成社記録』より抜粋 ( )内に補足説明を追加 読点「、」を追加)
※新築高楼=開成館のこと 上梁式=上棟式のこと

 そして、県庁文書『福島県開墾誌 上』には、同年9月に開成館が落成し、開拓事務所をここに移し区会所(当時の役所)もまたここに設置するとの記述があります。開成館の落成(竣工)は、8月や10月と記載している文献もありますが、いずれにしても9月からは使用されているようです。

 正式な落成式は翌8年(1875)3月27日に行われ、福島県官中條政恒が臨席し、開成社員、区内有志者200名余りが参加して祝杯を挙げた、と『開成社記録』に記述されています。

建築当初の開成館(写真中央)

■開成館の変遷

 開成館は初め、明治6年(1873)8月に上ノ池(現在の開成山公園内五十鈴湖)の西南側に建てられたましたが、すぐに手狭となり、現在の場所に新開成館が建築されると、小教院(神仏合同布教のための機関)に払い下げられました。この初代開成館は、その後さらに変転あって昭和50年頃には解体され、現存しません。
 新開成館は、時代と共に役割を変え、建物の部分的な改修等が行われながら解体の危機を乗り越えて現存し、まもなく建築から150年となる記念の年(令和6年〔2024〕)を迎えようとしています。

開成館(新)の変遷
  • 明治7年(1874)
  •  4月着工、6月28日上棟式、9月落成、第十区区会所及び開拓事務所として使用開始
  • 明治8年(1875)
  •  3月27日落成式。
     12月、福島県の区分改正により第7区区会所となる。
  • 明治12年(1879)
  •  区分が廃止され旧来の郡が行政区画となり、安積郡役所となる。
  • 明治15年(1882)
  •  1月、安積郡役所が開成館から郡山村の旧陣屋跡にあった戸長役場に移転。開拓事務所(県の開拓事務を取り扱う出張所)は開成館に残る。
  • 明治16年(1883)
  •  県の出張所が廃止され、開成館の「開拓事務所」としての役割は終了する。
  • 明治17年(1883)~明治19年(1886)
  •  県立開成山農学校校舎として、農学校が閉校するまで使用される。
  • 農学校校舎に使用された開成館(エッチング)
  • 明治27年(1893)~大正14年(1925)
  •  桑野村役場となり、大正14年6月に桑野村が前年に市制施行した郡山市と合併するまで使用される。
  • MEMO

     役場としては主に2階を用い、1階は貸家(貸部屋)としていたようで、大正から昭和初期の郡山を代表する作家の1人である久米正雄が、一家で北東側の一角を借りて住んでいたことがあり、久米はここから県立安積中学校(現在の県立安積高校)へ通うなどして少年時代をすごしました。

  • 昭和8年(1933)
  •  役場が廃止されてからはほとんど利用されることのない無住の空き家となっていたところ、明治天皇巡幸の際に行在所となった建物であるとして、11月に国の史跡に指定され、以後、保存される。
  • 昭和23年(1948)
  •  国史跡の指定が解除され、戦後の引揚者等の市営住宅として使用されるなど、徐々に荒廃していく。
  • 市営住宅として使用された開成館
    開成館の屋根は建築当初は木羽葺だったが、鉄板葺に変わっている。
  • 昭和33年(1958)
  •  5月、郡山市の重要文化財に指定される。
  • 昭和35年(1960)
  •  3月、福島県の重要文化財に指定される。
  • 昭和40年(1965)~昭和43(1968)
  •  昭和40年12月から同41年10月まで修復工事が行われ、昭和43年11月に歴史民俗資料館として開館。
  • 平成9年(1997)
  •  6月から11月まで内部改修工事が行われ、「安積開拓・安積疏水」の歴史を伝える展示をメインとした資料館にリニューアル。
  • 安積開拓と安積疏水の資料館となった開成館
    この頃の開成館は屋根が赤く塗られていた。
  • 平成21年(2009)
  •  2月、経済産業省が選定する「近代化産業遺産」に認定される。
  • 平成23年(2011)
  •  3月11日発生の東日本大震災により壁の剥落等甚大な被害を受け、翌日から公開を停止する。(郡山市開成館臨時休館)
  • 平成24年(2012)
  •  2月から復旧工事が行われ、11月17日に公開を再開する。(郡山市開成館全面再開館)
  • 公開が再開されて間もないころの開成館
    屋根の色は平成18年(2006)に赤色から建築当初の木羽葺をイメージした茶色に塗り替えられていた。
  • 平成28年(2016)
  •  『猪苗代湖・安積疏水・安積開拓を結ぶストーリー 未来を拓いた「一本の水路」ー大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗代ー』が文化庁が認定する「日本遺産認定ストーリー」に認定され、開成館はストーリーの構成文化財の1つとなる。
  • 令和3年(2021)
  •  2月13日発生の福島県沖地震により再び壁の剥落等甚大な被害を受け、翌日から公開を停止する。(郡山市開成館臨時休館)
  • 令和4年(2022)~
  •  3月16日に再度福島県沖地震が発生し被害が拡大、公開停止を継続。(郡山市開成館臨時休館を継続)
  • 令和6年(2024)
  •  建築から150年
開成館(新)の変遷
  • 明治7年(1874)
  •  4月着工、6月28日上棟式、9月落成、第十区区会所及び開拓事務所として使用開始
  • 明治8年(1875)
  •  3月27日落成式。
     12月、福島県の区分改正により第7区区会所となる。
  • 明治12年(1879)
  •  区分が廃止され旧来の郡が行政区画となり、安積郡役所となる。
  • 明治15年(1882)
  •  1月、安積郡役所が開成館から郡山村の旧陣屋跡にあった戸長役場に移転。開拓事務所(県の開拓事務を取り扱う出張所)は開成館に残る。
  • 明治16年(1883)
  •  県の出張所が廃止され、開成館の「開拓事務所」としての役割は終了する。
  • 明治17年(1883)~明治19年(1886)
  •  県立開成山農学校校舎として、明治19年に農学校が閉校するまで使用される。
  • 農学校校舎に使用された開成館(エッチング)
  • 明治27年(1893)~大正14年(1925)
  •  桑野村役場となり、大正14年6月に桑野村が前年に市制施行した郡山市と合併するまで使用される。
  • MEMO

     役場としては主に2階を用い、1階は貸家(貸部屋)としていたようで、大正から昭和初期の郡山を代表する作家の1人である久米正雄が、一家で北東側の一角を借りて住んでいたことがあり、久米はここから県立安積中学校(現在の県立安積高校)へ通うなどして少年時代をすごしました。

  • 昭和8年(1933)
  •  役場が廃止されてからはほとんど利用されることのない無住の空き家となっていたところ、明治天皇巡幸の際に行在所となった建物であるとして、11月に国の史跡に指定され、以後、保存される。
  • 昭和23年(1948)
  •  国史跡の指定が解除され、戦後の引揚者等の市営住宅として使用されるなど、徐々に荒廃していく。
  • 市営住宅として使用された開成館
    開成館の屋根は建築当初は木羽葺だったが、鉄板葺に変わっている。
  • 昭和33年(1958)
  •  5月、郡山市の重要文化財に指定される。
  • 昭和35年(1960)
  •  3月、福島県の重要文化財に指定される。
  • 昭和40年(1965)~昭和43(1968)
  •  昭和40年12月から同41年10月まで修復工事が行われ、昭和43年11月に歴史民俗資料館として公開。
  • 平成9年(1997)
  •  6月から11月まで内部改修工事が行われ、「安積開拓・安積疏水」の歴史を伝える展示をメインとした資料館にリニューアル。
  • 安積開拓と安積疏水の資料館となった開成館
    この頃の開成館は屋根が赤く塗られていた。
  • 平成21年(2009)
  •  2月、経済産業省が選定する「近代化産業遺産」に認定される。
  • 平成23年(2011)
  •  3月11日発生の東日本大震災により壁の剥落等甚大な被害を受け、公開を停止する。(郡山市開成館臨時休館)
  • 平成24年(2012)
  •  2月から復旧工事が行われ、11月17日から公開を再開する。(郡山市開成館全面再開館)
  • 公開が再開されて間もないころの開成館
    屋根の色は平成18年(2006)に建築当初の木羽葺をイメージした茶色に塗り替えられており、現在に至っている。
  • 平成28年(2016)
  •  『猪苗代湖・安積疏水・安積開拓を結ぶストーリー 未来を拓いた「一本の水路」ー大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗代ー』が文化庁が認定する「日本遺産認定ストーリー」に認定され、開成館はストーリーの構成文化財の1つとなる。
  • 令和3年(2021)
  •  2月13日発生の福島県沖地震により再び壁の剥落等甚大な被害を受け、翌日から公開を停止する。(郡山市開成館臨時休館)
  • 令和4年(2022)~
  •  3月16日に再度福島県沖地震が発生し被害が拡大、公開停止を継続。(郡山市開成館は令和5年9月30日まで臨時休館継続、10月1日から開成館を除いて一部再開館)
  • 令和6年(2024)
  •  建築から150年
<参考文献>
 『開拓者の群像 大久保利通と安積開拓』立岩 寧
 『郡山の歴史』郡山市史編さん委員会
 『明治開拓村の歴史ー福島県安積郡桑野村ー』矢部洋三

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